PM memorandum

Product Managementにまつわる記事をポストします。twitter: @kyosu_ke

PMの志向の3類型

これはなにか

PMが持つ志向を、大きく3つに類型化したものである。

各志向には特徴があり、企画の進行フェーズに沿って、活きるフェーズ、欠けやすい視点、フォローの方法が異なる。

読まれた方が、自分はどんな志向なのかを考えるきっかけになれば幸いである。

PMの志向の3類型

なにを重視し、どういった志向なのかは、ひとりひとり異なる。

それらの志向について、下記の3つの類型に大別した。

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また、これらの志向は「どういったことに意識が向きやすい状態か」を表しているため、経験を通じて、変化していくものである。

よって、生まれ持った性質を表しているわけではない

なお、今回は単純化して類型化しているため、一部例外が存在しうる点を、ご了承いただきたい。

以降、3つの志向を詳述する。

開発志向

ものを作っていくプロセスに明るく、開発のプロセスに意識が向きやすい状態を指す。

特徴

元エンジニア、元Webディレクターといったバックグランドを持っている場合が多い。 テーブル構成やスキーマAPIのレスポンス、などの具体的なイメージを持つことができ、提案することがある。

活きるフェーズ、欠けやすい視点

「解法の選択」や「製品の実装」のフェーズが、その特徴を一番活かせるフェーズである。 また、「価値の検証」のフェーズでも自身で分析を進める力があるケースが多い。

一方、この志向単体だと、どこが課題でなにを解くべきかを決める「課題の選定」や、それをどう伝えていくかを扱う「製品の伝達」の視点が欠けやすい。

欠けやすい視点をフォローするには

データアナリストの協力を仰ぎ、「解くべき課題」を見つける部分を支援してもらうと良い。

データアナリストが存在しないチームの場合は「課題の選定」に強いPMに協力を仰いぐのもよい。

こちらの記事で取り上げたように、「課題の選定」はPMが担保しなければならない要素の中でも、最も重要なもののひとつである。

kyosu-ke.hatenadiary.jp

体験志向

ユーザーがどういった体験を得るかにフォーカスしやすい状態を指す。

特徴

ユーザーがなにに課題を感じていて、それをどう解決するか、ということが意識の中心にある。

ユーザーがその機能を必要とする背景から、その機能を触れるまでの流れ、および触れたあとの行動・感情の変化までの一連のストーリーを考える視点を持つ。

デザイナーとしてのバックグラウンドや、スタートアップのCEOなどプロダクトオーナーの役割を持っている場合が多い。

活きるフェーズ、欠けやすい視点

「課題の選定」および「解法の選択」に強く、企画の上流工程が、最もその特徴を活かせる。

一方で、この志向単体では、どう作っていくかという視点や、KPIと施策のひも付きを精緻に詰める視点を欠きやすい。

欠けやすい視点をフォローするには

Tech Leadの役割を担ってもらえる開発パートナーを見つけることが最も良いと考える。

Tech Leadというポジションやロールが正式に存在する組織であれば、Tech Leadを頼ると良い。

Tech Leadという役割が存在しない組織であれば、そのプロダクトに詳しく、自領域だけに閉じない視野の広さと、総合的に課題解決にあたれる視座の高さを持つ、開発者を頼るのが良い。

マーケティング志向

どうやってユーザーを動かすのか、ということに意識が向きやすい状態を指す。

特徴

マーケティング業務のバックグラウンドを持っている場合が多い。

ユーザーがなにを欲しているかを把握し、どういった魅せ方伝え方をすることで、ユーザーに行動を起こしてもらうのか、ということに意識が向いている。

活きるフェーズ、欠けやすい視点

その特徴から、「課題の選定」と「製品の伝達」のフェーズが、この志向が最も活きてくるフェーズである。

一方、この志向単体では、体験志向と同じく、どう作っていくかという視点に欠けることが多い。

また、「解法の選択」の面でも、なにを作るかの視点が弱くてインプットが少ない場合がある。

欠けやすい視点をフォローするには

体験志向と同じく、Tech Leadの役割を担ってもらえるパートナーを見つけることである。

また、なにを作るかの視点については、日々のインプットを増やすという中長期的な努力は重ねつつ、短期としては、引き出しの豊富な他のPMにアイデア出しに協力してもらうといった方法でフォローができる。

今後の見通し

組織の規模・状態やチームの体制によってことなるが、個人的には、今後は体験志向がより重要になると考えている。

ユーザーの体験が重視され、Tech Leadという役割の浸透を背景として、PMが解くべき課題を明確に定め、

  • なぜ必要か(why)
  • なにを作るか(what)
  • いつリリースするか(when)

という3点の精度をあげることに集中し、どう作るか(how)については信頼できるパートナーに任せる、という流れが強まるからである。

まとめ

PMの3つの志向について述べてきた。

それぞれの志向において、良い点や欠けがちな視点が存在するが、最終的に重要なのは、チームとして期限内に高いクオリティでアウトプットを上げることなので、周囲に協力を仰ぎ、最終アウトプットを高めれば良い。

また、これらは生まれ持った性質ではないので、意識的に志向を変えて新しい強みを習得することができる。 欠けがちな視点があったとしても、重心の置き方次第で、その視点を身につけることが可能である。

自分の志向を認識し、潮流に合わせてその志向を変えながら、足りない部分は補い合いながら、チームとしてのアウトプットを最大化することが重要である。